あなたのユーモア・センスを磨く方法

日本ではあまり意識されていないかもしれませんが、海外では周囲の人から「あの人にはユーモアがある」や「ユーモア・センスに優れている」というのは褒め言葉で、とても高く評価されることを意味しています。

実際、海外の本屋では「ユーモア」や「ジョーク」といったコーナーがわざわざ設けられており、多くの人はそこでユーモア関連の書籍を購入して、ユーモア・センスを身に着けようとします。

たとえいくら仕事ができても、そのようなユーモアの能力を身に着けていなければ、人間的な魅力に欠けるという風に思われてしまうわけです。

今回は、あなたの人間関係や仕事関係を円滑にしていくユーモア・センスを磨くためのコツをご紹介します。

「笑い」とユーモアのコツ――「お笑い」を目指さない

さて、ユーモア・センスを身につける、すなわち、周囲の人たちを笑わせる技術を身につけるためには、あなたはどのようなことを心がければよいのでしょうか。

まず、あなたに意識しておいてほしいのは、単に「自分が相手を笑わせるような面白い話をすることではない」ということです。

日本ではいわゆる「お笑い」というものが一般化しているために分かりづらいのですが、人に笑ってもらえるような話のネタを自分が披露することが「人を笑わせることだ」として誤解されているケースが非常に多いのです。

このような披露型のコミュニケーションで相手を笑わせるためには、それこそプロとしての笑わせる技術が必要となり、一般人の私たちがすぐに身につけられるようなものではありません。

実際、そのようなお笑い芸人さんのような話術を身に着けようとして一般の人が変に勉強し、それでいざ披露したもののうまく行かずにスベって失敗するということはよく聞く話です。

なぜ失敗するかというと、これらのお笑い芸はステージや舞台等でお笑い芸人さんが「笑わせる人」で、それを見る観客が「笑わせられる人」という環境とその役割分担とがはっきりと決まっている中で披露してはじめて効果があらわれるものだからです。

つまり、観客の人は「この場でたくさん笑いたい」という欲求の下に集まって笑うための準備をしており、そのような状況で披露されるお笑い芸だからこそうまくいくというわけです。

それに対して、私たちが普段の生活の中で行っているコミュニケーションでは、自分の身の回りの人がいつもいつも笑いたいと思って準備しているわけではありません。

このようにお笑い芸とはまったく状況が違うのですから、私たちが身につけるべきユーモア・センスというものはそういうお笑い芸人さんのような披露型ではなく、あなたが普段周囲の人と交わしているコミュニケーションの中で相手の人を笑わせられような小さいもので充分なのです。

そのため、私たちの普段の状況の中で求められるユーモア・センスのコツとしてはとても単純で、それは「あなたの目の前の物事や出来事をズラして表現する」というこの一点だけです。

「笑い」とユーモアの本質――「ズレ」を作り出す

「笑い」やユーモアで笑うためには、自分と身の回りの人が同じような環境や状況に関する情報を共有していることが前提となります。

たとえば、家庭や学校や仕事場などであなたが誰かと会話しているときにはいろいろな内容の話をすると思いますが、会話を続ける中でそれらの状況に関する情報についてはお互いの了解や共有が進んでいくはずです。

会話とはそもそも情報の共有が目的ですから、このようなときに相手を笑わせるのはとてもカンタンで、自分たちがその場で見聞きしている状況や出来事を少しズラして表現するだけで良いのです。

ただし、このときのポイントとしては目の前の状況や出来事と「似ているけれども違う、違うけれども似ている」ような言葉で表現することがコツになります。

ここでひとつ、私自身がユーモアで周囲の人たちを笑わせた事例を挙げておきましょう。

私はとある大学の事務室で勤務していた経験があるのですが、その大学では2月の初旬に入学試験が数日間にわたって開催されるために大学の食堂が閉鎖される状況になります。

大学の入試とは直接関係していない私を含めた職員については事務室でそのまま勤務となるのですが、困ったことに食堂以外で昼食を取れる場所が大学周辺に少ないために、その時期になるとどこで昼食を取るのかがいつも問題になっていました。

ただ、まだ入ったばかりの新人の職員さんは大学入試の時期の昼食事情は知らないことから、古株の職員がその新人の方を含めた数人の方と「大学入試の時期は食堂が閉まるから困った状況になる」という話を説明していました。

そこで私が「ああ、この大学入試の時期って『昼食難民』が大量発生するんですよね」という発言をすると、それを聞いた周囲の人たちは大爆笑したという話です。

さて、この一連のストーリーに含まれる「面白さ」や「おかしさ」はその場に実際にいた人たちにしか分からないのですが、そのポイントとしては「昼食がなくてさまよっている」という私たち大学職員の状況を「難民」というズレた言葉で表現したというところにあります。

当然ながら、私たち大学職員はいわゆる社会的な問題としての「難民」とは違うのですが、そのように昼食を求める状況を「居場所を求めてさまよっている人たち」をあらわす難民という似ている言葉で表現することによって、「違うけれども似ている、似ているけれども違う」状況が発生したために笑いが生じたということになったわけです。

以上はひとつの事例に過ぎませんが、私たちの普段の生活の中では会話を通じていろいろな情報が交換されたり共有されたりしています。

そのような情報の共有が進んでいる中で、目の前の状況を少しズラして表現するだけで、周りの人はすぐに笑ってくれるわけです。

これに対して、最初に挙げた披露型のお笑い芸の場合は、この情報の共有をステージや舞台などでの限られた時間と状況の中で観客の人びとと行っており、そこから笑いを引き起こすためのズレた言動を行って観客の人たちを笑わせているのです。

「笑い」とユーモアの効用――「学び」が加速する

ただし、目の前の出来事や状況に対してすぐにそれと「似ているけれども違う、違うけれども似ている」言葉が出てくるとは限りません。

これには、私たちの周囲の出来事や物事に対する言葉の扱いや表現方法について普段から敏感である必要があります。

つまり、同じ状況を表現するためのいろいろな知識がいるということになります。

「笑い」とユーモアの効用として「頭がやわらかくなる」や「発想が豊かになる」というものがあるのですが、その理由はこのような言葉そのものに対する重ね合わせの上手さが挙げられます。

これについては普段の生活においてあなたがどれだけ目の前の出来事や物事を少しズラして表現しようとするかという心がけ次第でいくらでも成長が可能になります。

あなたもいろいろな人とさまざまな会話をする中で、その中で出てきたトピックをまったく別の文脈の言葉で比喩として表現したり、あえて別の言葉で表現したりすることがユーモア・センスを磨くことにつながるのです。

また、このようにして目の前の人を笑わせるために必要となるさまざまな言葉を習得していくことは、まさにあなた自身の学びを進めてくれることになるのです。

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