「笑い測定機」のコンセプト

私自身、「笑い」を計測するという「笑い測定機」の開発に携わるまで、「笑いを測るなんてことはわざわざ機械を使わずとも簡単にできる」という風に安易に考えていました。

しかし、実際に人間の笑いの動作や行動などを正確に把握しようとすると、それはかなり難しいということに気付かされました。

人間の笑いの何がどんな風に難しくて、なぜ笑い測定機という装置が必要なのかについてご紹介していきます。

「笑い」を正確に測定するためには

「笑い」を正確に捉える、すなわち「笑いを客観的・数量的なデータとして把握する」ためにはどうすれば良いのでしょうか。

すぐに思いつく方法としては、笑いを捉えようとするならば、笑っている人の笑った回数やその時間なりを計測すれば良いというものがあります。

しかし、そうなるとここで2つの問題が出てきます。

ひとつは、笑いの始まりと終わりをどのように捉えるのかということと、もうひとつは笑いの中のどういった要素を数量化すれば良いのかという点です。

ひとつめの笑いの始まりと終わりについては、観察する人によってそれに違いが生じることが考えられるため「客観的」とはいえなくなりますし、それにともなって笑いの数量、すなわち回数と時間のどちらもあいまいな結果が出てくることになってしまいます。

では、笑った人に「あなたは、今、どれぐらい笑いましたか?」と聞いてみる方法はどうでしょうか。

これについても、多くの場合、自分が行った笑いについてその「どれくらい」をどのように表現すればよいのかが分からないという問題に直面します。

また、もし、この質問に答えようとするならば、「よく笑った」「少ししか笑わなかった」などのようなあいまいな言葉でしか表現できませんし、そもそもこの回答そのものが客観的とはいえません。

このように、笑った本人やそれを周りで観察する人の評価に頼る方法では、笑いを客観的・数量的に捉えることは難しいといえます。

そこで、人間の主観的な評価ではなく、客観的に笑いを検出するために求められた解決方法のひとつが「笑い測定機」なのです。

「笑い測定機」の3つの種類

人間が笑うときには、顔(表情)、喉(声)、腹(横隔膜)という3つの身体の部位が動くことが知られています。

「笑い測定機」は、笑った際に動くこれら3つの部位の反応を検出するとともに、そこから笑いを客観的に把握し、その数量化を行う装置です。

現在、それぞれの部位に対応した笑い測定機が開発されています(下表参照)。

部 位 名 称 センサ

(表情)
スマイル・スキャン カメラ

(声)
アッハ・メーター 咽頭マイク

(横隔膜)
横隔膜式
笑い測定システム
筋電計

「顔」の笑い測定機である「スマイル・スキャン」は、健康医療機器メーカーであるオムロン社が開発したもので、笑顔を0~100%の指標であらわします。

「喉」の「アッハ・メーター」は、笑い声を数量的にあらわす笑い測定機です。

咽頭マイクという喉の部分にはさんで音を取得するセンサをスマートフォンに接続し、「アッハッハ」といった笑い声を「アッハ」という単位を使って数量的にあらわします。

なお、このアッハ・メーターはスマートフォン用のアプリとしてリリースしており、どなたにでも無料でお使い頂けますので、詳細はこちらの「笑い」の測定機――「アッハ・メーター」のページからダウンロードしてご利用ください。

最後の「腹」の「横隔膜式笑い測定機」は、腹部で発生する笑いを筋電計という筋肉が動いた際の電位を測定する装置を使って笑いを定量的に捉えようという装置です。

この横隔膜式笑い測定機の最大の特徴は、顔にも声にも出てこないようなお腹の笑いを検出することができる点です。

そのため、その人が本当におかしいと思っている笑いを測定することができるのです。

この横隔膜式笑い測定機が動く様子とそれを把握する方法については、こちらの笑い測定機で「笑い」を「見える化」するのページをご覧ください。

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