「笑い測定機」は日本だけの発明品
私自身、笑い測定機を開発していた関係から、人間の「笑い」を測定するような装置がこれまでに世界のどこかで開発されたことがあるのかを調べたことがあります。
そうすると、面白いことに、人間の「笑い」を客観的に計測する「笑い測定機」を開発していたのは日本だけであることが分かりました。
今回は、この日本だけの先駆的な発明である笑い測定機をご紹介していきます。
日本には「笑い測定機」が3種類もある
笑い測定機と一口にいっても、実は3つの種類が存在しています。
なぜ、3つも種類があるのかというと、それは人間の笑いを捉えようとするときには、笑ったときに動く部位が3つあるからなのです。
たとえば、あなたがある人が笑っているかどうかを判断する場合、その人が笑顔か、声を出して笑っているかを手がかりにしているはずです。
その際、笑顔については「顔」、笑い声については「喉」がそれぞれの動いている部位となります。
また、「腹を抱えて笑う」という言葉があるように、実は、人間が大きく笑っているときには「腹」の部分にも動きが出てきます。
つまり、人間が笑うときには「顔」「喉」「腹」という3つの部位に動きが見られますので、これらの動きを機械が把握・分析することで、笑いが測定できるということになります。
日本では、これら3つのそれぞれの部位の動きを測定する「笑い測定機」という測定装置がすでに開発されているのです。
部 位 | 名 称 | センサ |
---|---|---|
顔 (表情) |
スマイル・スキャン | カメラ |
喉 (声) |
アッハ・メーター | 咽頭マイク |
腹 (横隔膜) |
横隔膜式 笑い測定システム |
筋電計 |
それぞれの笑い測定機の特徴を以下にご紹介していきます。
「顔」の笑い――スマイルスキャン
この「スマイルスキャン」は、健康医療器具のメーカーであるオムロン社が開発した笑い測定機です。
自分が笑顔をしたときの顔の形を想像してもらえれば分かるように、笑ったときには口角が上がったり、目尻が下がったりします。
スマイルスキャンでは、この笑顔の表情をカメラで読み取り、笑顔の度合いに応じて0~100%の指標で表現します。
このスマイルスキャンは、接客業の研修などで笑顔のトレーニングをするときに使われているほか、私たちの身近なところでいえば、デジタルカメラで笑顔になると自動的にシャッターが下りる「スマイルシャッター」の技術としてすでに実用化されています。
スマイル・スキャンについては、こちらのリアルタイム笑顔度センサ スマイルスキャンのページをご覧ください。
なお、このスマイル・スキャン、アメリカのニュース雑誌である『タイム』誌上の「世界最低の発明」にノミネートしたことでも一時期話題になりました。
「喉」の笑い――アッハ・メーター
これは私が所属していたNPO法人で開発した笑い声を検出する装置です。
笑い声は「喉」の部分の振動として検出することができますので、アッハ・メーターでは「咽頭マイク」という喉で出た音を拾うマイクを喉の部分に装着し、笑い声が発生したらその度合を計測します。/p>
この装置では、笑い声の中に含まれる「ア」と「ハ」の数をカウントして「アッハ」という単位で表現します。
たとえば、「アッハッハ」ならば「3アッハ」、「アッハッハッハッハ」ならば「5アッハ」という具合です。
笑い声はそれを聞く周囲の人にも移りやすいので、このアッハ・メーターを使うことで笑いを広げることが可能です。
スマートフォンにインストールして使える無料アプリですので、あなたも笑い測定機を試してみたい場合は、是非ともダウンロードして利用してみてください。
詳しくは、こちらの「笑い」の測定機――「アッハ・メーター」のページをご覧ください。
「腹」の笑い――横隔膜式笑い測定システム
これはもともと私が関西大学で開発していた笑い測定機です。
人間は大きなおかしみをともなった笑いをすると、腹部に、より正確には「横隔膜」の部分に反応があらわれます。
横隔膜は筋肉でできていますので、その動きを捉えるためには筋肉の動きを検出する「筋電計」というものを使います。
この装置の最大の特徴は、顔や声でいくら「作り笑い」をしても反応せず、おかしみをともなった「本当の笑い」だけを捉えられることです。
これまでこの笑い測定機を使ってお笑い芸人の芸やネタの面白さを測ってきましたが、「ウソ笑い」が通用しないこの装置は彼らからの評判がとても悪かったことをよく覚えています(笑)。
この笑い測定機が動いている様子については、こちらの笑い測定機で「笑い」を「見える化」するのページをご覧ください。
また、笑い測定機のシステムの詳細については、こちらの「横隔膜笑い測定機」の特徴のページをご参照ください。